山東省は中国大陸の東部に位置し、黄海に臨み、日本列島とは海一つで隔たっている。この地区は古代の文化の発達したところで、旧石器時代の人類化石と遺跡は既に数十か所も発見されている。旧石器時代の後に、中石器時代がおとずれる。

中石器時代は、旧石器時代から新石器時代への過渡期である。それゆえ中石器時代の遺跡は世界でも数が少ない。中国でも非常に珍しく、現在にいたるまで全部で五か所しか発見されていない。その中で山東省が五分の一を占めている。今から八千年以前に遡るいわゆる後李文化 ( 一 九六五年初めに山東省の滔博市の後李で遺跡が発見されたが、一 九八○年代に山東省済南市郊外でも発見されたので、「 西河文化」ともよばれる) は主に山東省の西部地区に分布している。その文化は、年代の上で日本の縄文文化の草創期に大体相当しているが今まで両者の間にどのような関係があったかは不明である。

その後北辛文化( 最初に山東省滕県で北辛遺跡が発見されたので、初めの発見地により命名した。年代は紀元前五〇〇〇年前後) 、大波口(たいもんこう)文化( 紀元前五〇〇〇〜二六〇〇) 、龍山文化( 紀元前二六〇〇〜一 九〇〇)などが続いている。以上の原始文化は日本の旧石器時代、縄文時代後期までの諸文化とは殆ど関係がないと思われる。


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