個々の資産の収益率:3つに分解 †CAPMから、個々の資産の収益率は以下の3つの部分の和に分けることができる。 無リスク金利を差し引いたi資産の超過収益率をRiとすると、 Ri=ri-rf=αi + βi(rm-rf) + ei
インデックスモデル †S&P500のような証券収益性インデックスが共通のマクロ経済要因の代理変数とする方法がある。これらのインデックスを用いて、特定の資産のリスクとリターンを評価するモデルをインデックスモデルという。 CAPMを実際に導入するには、対象となるすべての銘柄間の共分散を推定するという膨大な作業が必要となるものである。しかし、インデックスモデルを用いることで、実際の資産の収益率はマクロ(システマティック)による部分とミクロ(銘柄固有)による部分に分けることができる。 資産が市場にあるとする。インデックスモデルの式はつぎのように表される。n個のデータを使って Yi=α+βXi+ei (i=1,・・・,n) この式のXとYを具体的に次のように置き換える。 ri-rf=α + β(rm-rf) +ei 資産の超過収益率と市場の超過収益率との関係を探るモデルとなる。ここでeiは平均0となる誤差項である。 最小二乗法による回帰を適応すると、αとβは、 さらにβについては、安全資産利子率を一定として、 となる。 超過収益率を変数として選択したインデックスモデルはCAPM式を推定することである。 リスク分解:システマティックリスクと資産固有リスク †インデックスモデルにおける資産のリスクは、収益率の分散を計算すれば分解表現できる。 超過収益率Ri=ri-rfの分散をとると、 V(ri-rf)=V(α + β(rm-rf) +ei) 定数をすべて消して、rmとeiが独立とみるなら、 V(ri)=σi^2=β^2 σm^2 +σe^2 分散の式 個別資産のリスクは、システマティックリスク(右辺の第1項)と資産固有のユニークリスク(右辺の第2項)に分解される。 一方で統計分析上で利用される決定係数R2は相関係数の2乗であることから、 分散の式の両辺をσi^2で払って、この決定係数を利用すると、 σe^2/σi^2=1-R^2 となる。 個別資産全体のリスクに占める固有リスクの割合は、1-R^2で直接求められることになる。これは、誤差項の分散を資産収益率の分散全体で割った値である。
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