チェビシェフの多項式

  • チェビシェフ多項式はロシアの数学者チェビシェフ(1821~1894)が発見したもので、応用に役立つ The Chebyshev polynomials, named after Pafnuty Chebyshev, are a sequence of orthogonal polynomials which are related to de Moivre's formula and which are easily defined recursively, like Fibonacci or Lucas numbers.

Pafnuty Lvovich Chebyshev(1821 – 1894)

He was a Russian mathematician. His name can be alternatively transliterated as Chebychev, Chebyshov, Tchebycheff or Tschebyscheff (French and German transcriptions).

One of nine children, Chebyshev was born in the village of Okatovo in the district of Borovsk, province of Kaluga. His father, Lev Pavlovich, was a Russian nobleman and wealthy landowner.

基本の多項式

  • n 倍角の余弦 cosnθ は、加法定理cos(α+β)=cosαcosβ-sinαsinβを用いると、cosθ の多項式になる。
n=1 のとき、 cos1θ=cosθ
n=2 のとき、 cos2θ=2cos2θ-1
n=3 のとき、 cos3θ=4cos3θ-3cosθ
n=4 のとき、 cos4θ=8cos4θ-8cos2θ+1
n=5 のとき、 cos5θ=16cos5θ-20cos3θ+5cosθ
  • 簡単に導出できる
n=2 cos2θ=cos2θ-sin2θ=cos2θ-(1-cos2θ)=2cos2θ-1
n=3 cos3θ=cos2θcosθ-sin2θsinθ
           =(2cos2θ-1)cosθ-2sin2θcosθ
         =2cos3θ-cosθ-2cosθ+2cos3θ
        =4cos3θ-3cosθ
n=4 cos4θ=2cos22θ-1
         =2(2cos2θ-1)2-1
         =8cos4θ-8cos2θ+1

任意の自然数nに対して,cosnθはcosθのn次多項式で表されることが予想されます。

練習問題

一般に、cosnθ を、加法定理を用いて展開した式において、cosθ=X として得られる 多項式を、チェビシェフの多項式という。通常、Tn(X) で表される。

  • 問題1:cos 3θ = T3(cos θ), cos 4θ = T4(cos θ) となる3 次式T3(x) と4 次式T4(x) を 求めよ.
  • 問題2:α =2π/7とする.cos 3α = cos 4α を示し, 整数を係数にもつ3 次式P(x)でP(cos α) = 0 となるものを1 つ求めよ.

cos(2π/7)+cos(4π/7)+cos(6π/7)=-1/2の証明

cos(2π/7) 、cos(4π/7) 、cos(6π/7) は、3次方程式 8x^3+4x^2-4x-1=0 の異なる3つの解である。

複素平面上に、方程式 Z^7=1 の7つの解を分布させる。円分7角形である。 このとき、 1+z+z^2+z^3+z^4+z^5+z^6=0 が成り立つ。z=cos(2π/7)+ sin(2π/7) ここで、 z と z6 、 z2 と z5 、 z3 と z4 は互いに共役な複素数なので、

z + z6 = 2cos(2π/7)
z2 + z5 = 2cos(4π/7)
z3 + z4 = 2cos(6π/7)

合計してみよう よって、1+2(cos(2π/7)+cos(4π/7)+cos(6π/7))=0 より、

cos(2π/7)+cos(4π/7)+cos(6π/7)=-1/2
                                                  (証明終わり)

正7角形の問題

問題:方程式 x7-1=0 の解を1,α1,α2,α3,α4,α5,α6とおくとき、 (1-α1)(1-α2)(1-α3)(1-α4)(1-α5)(1-α6)の値を求めよ。

  • x7-1 = (x-1)(x6+x5+x4+x3+x2+x+1) と因数分解できます。 また、解であるαnは、x7-1 = (x-1)(x-α1)(x-α2)(x-α3)(x-α4)(x-α5)(x-α6) をみたす。 (x-α1)(x-α2)(x-α3)(x-α4)(x-α5)(x-α6) = x6+x5+x4+x3+x2+x+1 となることがわかります。 この等式にx=1を代入すれば、
    (1-α1)(1-α2)(1-α3)(1-α4)(1-α5)(1-α6) = 7
    となります

ニュートン法で 3次方程式 P(x) =8x^3+4x^2-4x-1=0を解く

唯一の実数解の厳密解は、x=cos(2π/7)です。P"(x) = 48x + 8 なので少なくともx > 0 ではy = P(x) は下に凸です.

一般に(an, P(an)) における接線は

y = 4(6an^2 + 2an − 1)x − 16an^3 − 4an^2 − 1

x 軸との交点のx 座標an+1 はan+1 =16an^3 + 4an^2 + 1 {an} はこの漸化式をみたし,初項をa1 = 1とでも与えて繰り返し計算できます。一般項がきれいな式で求まるわけではありませんが,電卓を使って数値計算するのは容易です. これが、ニュートン法です。

n次のチェビシェフ多項式 Tn(x)

  • 一般に、cosnθ を、加法定理を用いて展開した式において、cosθ=X として得られる 多項式を、チェビシェフの多項式という。通常、Tn(X) で表される。次数が0や1のときも考えると,以下のようになります。 Tn(cosθ)=cosnθ
      T0(X)=1
      T1(X)=X
      T2(X)=2X^2-1
      T3(X)=4X^3-3X
      T4(X)=8X^4-8X^2+1
      T5(X)=16X^5-20X^3+5X
ChebyshevTPlot.gif

That cos(nx) is an nth-degree polynomial in cos(x) can be seen by observing that cos(nx) is the real part of one side of de Moivre's formula, and the real part of the other side is a polynomial in cos(x) and sin(x), in which all powers of sin(x) are even and thus replaceable via the identity cos2(x) + sin2(x) = 1.

This identity is extremely useful in conjunction with the recursive generating formula inasmuch as it enables one to calculate the cosine of any integral multiple of an angle solely in terms of the cosine of the base angle. Evaluating the first two Chebyshev polynomials

      T0(X)=cos0X=1

and:

      T1(cosX)=cos1X=cosx

one can straightforwardly determine that:

cos2θ=cos2θ-sin2θ=cos2θ-(1-cos2θ)=2cos2θ-1

cos3θ=cos2θcosθ-sin2θsinθ

           =(2cos2θ-1)cosθ-2sin2θcosθ
         =2cos3θ-cosθ-2cosθ+2cos3θ
        =4cos3θ-3cosθ

and so forth.

  • Tn(x)のグラフ
    chebyshev03.png

Tn(X) は、n 次の多項式で、最高次の項の係数は、2n-1であることが予想される。 ド・モアブルの公式により、i を虚数単位として、

cos(nθ)+i・sin(nθ)=(cosθ+i・sinθ)^n

右辺は、2項定理を用いて展開すると、

tschebyscheff2.gif

となるので、両辺の実部を比較すれば次式

tschebyscheff3.gif

チェビシェフ多項式の解

  • -1 ≦ X ≦ 1 の範囲で、方程式 Tn(X)=0 は、異なる n 個の実数解を持 つ。定義域は、 -1 ≦ X ≦ 1    値域は、  -1 ≦ Y ≦ 1

 実際に、方程式 Tn(X)=0 となる X=cosθ は、cos(nθ)=0 を満たす θ によって求められる。この三角方程式の一般解は、

 nθ=kπ-(1/2)π  ( k は、整数)

なので、

 θ=(2k-1)π/2n  ( k は、整数)

となる。

 cosθ は、偶関数であるので、相異なる cosθ の値を与えるものとしては、 k=1、2、3、・・・、n を代入して、

    θ1=π/2n 、θ2=3π/2n 、θ3=5π/2n 、・・・、θn=(2n-1)π/2n

の n 個存在する。これらが、方程式 Tn(X)=0 の実数解 Xn=cosθn を与える。方程式 Tn(X)=0 が必ず異なる n 個の実数解を持つ

加法定理

  • オイラーの公式(Euler's formula)eiθ = cosθ + isinθ から、ガウス平面状でCos(α+β)+iSin(α+β)=ei(α+β)=eiα・eiβ=(cosα + isinα)・(cosβ + isinβ)の実部と虚部を対応させれば良い。

チェビシェフの微分方程式と漸化式

Chebyshev(チェビシェフ)多項式とは、Chebyshevの微分方程式

Chebyshev01.png

を満たす直交多項式。ここでnは非負整数であり、α=-1/2。 次の漸化式を満たすことが知られています。

Tn+1(X)= 2X・Tn(X)ーTn-1(X)

応用例1:チェビシェフの多項式近似

  • 多項式を近似に用いるには次のような利点がある。
    連続関数を近似するために必要な十分の多項式の数がある。 
    多項式は簡単に値の計算ができる。 
    微分および積分が存在し,それらが簡単に求められる。 
  • 例題:exp(-X)の次数5のChebyshev有理関数近似を求めよ。

応用例2:関数のチェビシェフ級数展開による数値積分

補間,平滑化ルーチン

NUMPACには,データの与えられ方,及びそのデータに誤差が含まれるか否かにより,各々のルーチンが用意されている。先ず,データの与えられ方が,関数の形で与えられ,いかなる点における関数値でも計算できるときを関数入力と呼ぶ。この時はチェビシェフ補間のルーチンが良い。一方,データが離散点で与えられるときで,データに誤差はなく,又は小さいときは,スプライン補間がよい。誤差を含むときは,最小二乗近似ルーチンを用いるとよい。

  • 多項式補間 In the mathematical subfield of numerical analysis, polynomial interpolation is the interpolation of a given data set by a polynomial. In other words, given some data points (such as obtained by sampling), the aim is to find a polynomial which goes exactly through these points.

添付ファイル: fileChebyshevTPlot.gif 448件 [詳細] fileChebyshev01.png 448件 [詳細] filechebyshev03.png 449件 [詳細] filetschebyscheff3.gif 469件 [詳細] filetschebyscheff2.gif 436件 [詳細]

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Last-modified: 2010-05-07 (金) 11:55:14 (5095d)