デリバティブとは

  • 金利交換取引とは「同じ通貨で、種類の異なる金利を交換(=スワップ)する取引」
    • 「固定金利」と「変動金利」の交換が代表的。将来の金利変動の影響を調整したり、金利水準を調整できる
  • 先物取引:「将来のある一定期日」に、あらかじめ約定した価格で売買する取引
  • オプション取引:将来に売ったり、買ったりする「権利」の取引

デリバティブ取引の対象

さまざまな資産、商品、信用リスクが取引されている。

  • 金融資産:金利、株、債券、為替(通貨)など
  • 商品  :金属、原油、農産物など
  • その他 :天候、企業の信用力など

世界のデリバティブ取引の規模:巨額です

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  • 世界の金融資産規模
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  • 国際決済銀行(BIS)が公表したデリバティブ(金融派生商品)市場に関する報告書によると、市場規模は2007年下期に596兆ドルに拡大したが、信用危機の影響で成長ペースは前半から鈍った。市場規模は2007年下期に15%拡大。上期は24%拡大だった。
  • 下期に最も成長著しかったのはクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)。iTraxxといった指数の取引が活発だったことを背景に、取引額は36%増え58兆ドルとなった。
  • 外為関連のデリバティブ取引は16%増の56兆ドル。金利デリバティブは13%増の393兆ドル。株式デリバティブは1%減の8兆5000億ドルで2004年下期以来のマイナスとなった。
  • 半面、商品デリバティブは活発。07年下期は19%増えて9兆ドルとなった。特に金は40%増と、33%減だった上期からプラスに急転換した。

日本のデリバティブ市場の日平均総取引高

  • 大阪証券市場の取引高の推移
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    金利関連取引と外為関連取引を合計したわが国デリバティブ市場の1営業日平均総取引高は、882億米ドルと、金利関連取引を中心に大幅に増加(前回調査比+124.0%、)。また、グローバル・ベースの取引高に占めるシェアは前回調査時の2.6%から3.5%に上昇
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金融危機とデリバティブ

  • デリバティブは、金利や為替などのリスクを回避する目的で、多くの金融機関や企業、投資家が参加する市場です。金利スワップや為替先物は、金融機関、貿易や海外生産・販売企業などがリスクヘッジの目的で活用されいます。
  • 今回の金融危機は、証券化された住宅ローンやもろもろの債権(たとえば自動車ローン債)の信用力(Credit Default Swap)の取引市場が崩壊したことにあります。
  • 2007年中頃、世界では、債権(国債を除く)が8兆ドルも発行されその約半分が証券化されている。実に巨大な証券化ですが、2000年にはこの債権総額は、2兆ドル程度と少なく証券化比率も3割程度と少なかった。2000年以降の金融市場の最大のトピックは、この証券化市場の急膨張と崩壊であったと歴史に記されるようになるのかもしれない。 なかでも問題はCDO(レジット・デフォルト・スワップ)のようです。銀行や保険会社、資産運用会社のCDOへの投資は総額1兆2000億ドル規模に上るとみられている 2006年に販売されたCDOの総額は5003億ドル、その5年前にはわずか840億ドルだった。最近ではCDOを売却して一挙に損失計上する証券会社が増えている。 総額1兆2000億ドル(約120兆円)規模に上るこうしたCDOに投資した銀行や保険会社、資産運用会社が抱える損失は、総額6600億ドルに達する可能性があるとも言われている。サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)関連のCDOの損失に続「CDO評価損の第2の波」になる恐れがある。 OECDの推計によれば、総額3兆ドルにのぼる債務担保証券CDOの半分近くを保有するのはヘッジファンドである。ファンド勢に信用を供与しているのは、米欧の大手金融機関が中心。
  • 米国では世界中にこの証券を販売して住宅を建設してきた。世界中の人々が証券投資を行うことで、活況を呈してたくさんの住宅をまずしい人々にまで提供できたとみれば、一見よさそうですが、無理が祟ったようです。
複雑な仕組み:関係者多数
1. 機関債に投資者:世界中の個人や会社
2. 格付け機関
3. 証券化しリスク回避を狙った銀行(資産運用で購入もする)
4. 販売した証券会社
5. 保証機関(住宅の場合はファニーメイなどの
  • CDOとは "Collateralized Debt Obligation"の略で、日本語では「債務担保証券」のことをいう。CDOは、ローン(金銭債権)や債券(公社債)などの債務証書を裏付け(担保)資産として束ねた金融商品で、資産担保証券(ABS)の一つ。担保資産が債券のみで構成される場合は「CBO(Collateralized Bond Obligation)」と呼ばれ、またローンのみで構成される場合CLOはCLO(Collateralized Loan Obligation)」と呼ばれ、CDOはこれらを包括した商品。
  • CDSの仕組み 2者間(買い手と売り手)の間で結ばれた次のような契約である。買い手が企業A(参照企業という)への貸付債権や社債を持っている場合などを想定するとわかりやすい。
    • 買い手は売り手に定期的にプレミアム(保険料)を支払う。
    • 売り手は企業Aがデフォルトした際に、あらかじめ決められたルールに従いその買い手の損失を補償する。 企業Aに対して貸付債権などを持っている銀行がCDSを購入することにより、貸倒れのリスクをヘッジすることが可能となる。
  • CDSの売り手、買い手は、ヘッジファンド、銀行投資部門、証券会社などであり、ヘッジファンドは売りが多く、銀行は買いが多い。
  • リーマンブラザーズのケース:CDSの買い手がリーマンブラザーズに1万円の融資を行った場合、CDS契約により、CDSの売り手に500円のプレミアムを支払う。リーマンの破たんによって、想定元本比率は8.625%となってしまった。その結果、清算のためリーマンは、CDSの売り手(事実上の債権者)に1万円の8.625%の862.5円を支払った。CDSの売り手は、買い手に1万-862.5円の支払いを行うことで、プレミアムを500円もらったものの8637.5円の損失となる。CDSの買い手は、8637.5円の利益を得る。
  • CDSの売り手は、よもやリーマンが破たんするとは予想できずに、プレミアムを得ようと契約した。またリーマンは、CDSのリスクを知りつつ大量にCDSの融資を受けた。一方、債権者(CDSの買い手)はプレミアムを払ってリスクを保全した。

リスク・リターン:平均・分散 選好図

  • 信用収縮によるリスク・リターンの変化
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サブプライム・ローンの価格変動:米国住宅ローン

  • 住宅販売:米国
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  • 住宅価格:米国
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  • FF金利と住宅ローン延滞率:米国
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  • 住宅ローン残高
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添付ファイル: fileDerivative-JP.JPG 326件 [詳細] fileGlobalAssetss.JPG 386件 [詳細] filezyuutakuhannbai.JPG 378件 [詳細] filesubprime.JPG 375件 [詳細] fileusa-zyuutakuKinri.JPG 387件 [詳細] filesakimono-zyuutaku.JPG 373件 [詳細] fileRisk-return.JPG 373件 [詳細] filederivative-deal.JPG 391件 [詳細] filederivative-volume.JPG 408件 [詳細]

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Last-modified: 2010-09-16 (木) 09:42:30 (4974d)