ピサのレオナルドとよばれた

  • 1180-1250年頃の人。偉大な数学者で、事実、中世を通じて最も偉大で生産的な数学者
  • 通称Leonardo Fibonacci フィボナッチはボナッチの息子というfilius Bonacci縮略形
  • ビゴリ(Bigolli:「無用のもの」,または,「旅人」)
    • レオナルド・ビゴッロ(Leonardo Bigollo)と名乗ったりした。
  • イタリア、ピサに生まれ、ピサに死す。
    • ピサ市は、ティレニア海 からおよそ 9.7 kmのところにありますが、 11~13 世紀の初めまでヴェネチア Venezia やジェノヴァ Genova と並ぶ強力な海洋国家として繁栄。十字軍の遠征で東地中海における特権を取得するほどに政治的・商業的力を増していきます。ルネサンスの胎動のころ。
  • 父はピサの外交係で、アルジェリアに赴任、父と共に地中海沿岸各地をアラスカ側も含めて巡る。
  • 1200年にピサに戻り、出版した『算盤の書』(1202)で10進記数法とそれによる四則演算法を,インド・アラビア数字と共にヨーロッパに紹介。フィボナッチ数列。
  • 1220年の『幾何学演習』は当時の幾何学の集大成で三角法も含んでいた。
  • 1225年の『精華』では不定方程式,3次方程式の近似解も論じている.
  • 1240年のピサ共和国からの年金の証書(真摯で学識ある巨匠レオナルド・ビゴリに銀20ポンドの年金を付加給付する旨)から、巨匠と呼ばれたらしい。

著作

『算盤の書』(Liber Abaci, 1202, 再版は1228) 
『幾何学演習』(Practica geometriae), 1220. 
『精華』(Flos), 1225. 
『哲学者テオドロスへの手紙』 
『2次方程式の書』(Liber quaddratorum), 1225.

算盤の書 の内容

1.ヒンドゥー・アラビア体系の数の読み方、書き方
2.整数の乗法
3.整数の加法
4.整数の減法
5.整数の除法
6.整数と分数の乗法
7.分数のその他の計算
8.物(商品)の値段
9.交換(barter)
10.協力(partnership)
11.混合法(Alligation)
12.問題の解法
13.False Positionの規則(Rule of False Position)
14.平方根と立方根
15.幾何学と代数

Zero 0の導入

  • 『算盤の書』がヨーロッパで広く読まれ、インド・アラビア記数法が拡がった。
  • その説明
    • 「インドの9つの数字は9,8,7,6,5,4,3,2,1である。これらにアラビアでの sifr とよばれる記号0をつかうと、どんな数でもみんな表わすことができる」
  • sifr は「空」の意味で、フィボナッチはこれをラテン語で cephirum とよびましたが、これがイタリア語の Zero(ゼロ)に変化。

 パイ Π の近似式

  • フィボナッチは、円に内接、外接する正96角形をつかって、
    内接多角形の外周<円周<外接多角形の外周
  • これより、πの値を2つの外周の平均として 864/275=3.141818・・・ とした

エジプトで知った不思議な級数の存在:フィボナッチ級数

  • 不思議な数
    「連続する2つの数の和はその上位の数となる
    どの数字もその下位の数に対して1.618倍の割合となる
    どの数字もその上位の数に対して0.618倍の割合となる
  • この比を黄金分割の比という。

フィボナッチ級数

  • 0,1,1,2,3,5,8,13・・・
  • 漸化式 a1 =1、a2 =1、a(n)=a(n-1)+a(n-2) (n=3,4,・・・)で定まる数列
  • 面白い性質
    性質1:n個までの合計値=n+1番目の数から1を引いた値
    性質2:最初から一つ置きにa(2n-1)までの合計=a(2n)
    性質3:a2からひとつ置きにa(2n)までの合計=a(2n+1)-1
    性質4: a1-a2+a3-a4+・・・+(-1)^n+1*a(n)=(-1)^n+1*a(n-1)+1
    性質5: a(n+m)=a(n-1)*a(m)+a(n)*a(m+1)
     n=mの場合
    性質6: a(n)の2乗は、a(n)で割り切れる
    性質7: a(n)の2乗=a(n+1)の2乗-a(n-1)の2乗
    性質9: 2つのフィボナッチ数の最大公約数は、フィボナッチ数である
    例えば  a18=2584 と a12=144 の最大公約数は、a6=8
    性質10: 隣り合うフィボナッチ数は、互いに素である
  • 数学的帰納法で証明できる
  • その他
    m が n で割り切れるとき、a(m) は a(n)で割り切れる
      この逆もまた成り立つ

フィボナッチ級数の一般項の表現

a1=1、a2=1、an=an-1+an-2 (n=3,4,・・・)で定まる数列の一般項は, 次式であらわされる。                 

an=( α^n-β^n)/√5   但し、α=(1+ √5)/2 ,β=(1- √5)/2。 
(証明) α、βを用いて、an+2-αan+1=β(an+1-αan)
         an+2-βan+1=α(an+1-βan) と変形されるので、
           an+1-αan=(a2-αa1)βn-1=(1-α)βn-1=βn
           an+1-βan=(a2-βa1)αn-1=(1-β)αn-1=αn
           この連立方程式を解いて、ビネの公式を得る。
           a2n=an+1^2-an-1^2
                                                         (証終)
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フィボナッチ級数の具体例1:階段を上る場合の数

  • 問題
    n段の階段がある。
    1段ずつでも2段ずつでも、また1段ずつと2段ずつをとりまぜて登ってもよい
    何通りの登り方があるか。(ただし、3段ずつ以上はだめ)
  • n段の階段のときの登り方の総数を、a(n) とすると、フィボナッチ級数の漸化式が成り立つ。

フィボナッチ級数の具体例2:兎の問題

  • 問題  1ヶ月経つと1つがいの兎は1つがいの兎を産み
    産まれた兎は、2ヶ月目には1つがいの子供を産むものとする。
    1つがいの兎は、nヵ月後に何つがいの兎になるか?
  • nヶ月後の兎のつがいの数をa(n)とすると、フィボナッチ級数の漸化式が成り立つ。

フィボナッチ級数の具体例3:木の枝の問題

1ヶ月経つと1つの幹(太い枝)が1つの枝を作る

産まれ枝は、2ヶ月目には幹(太い枝)となって1つの枝を産むものとする。
1つの幹は、nヵ月後に何本の枝(太い枝を含めて)になるか?
  • nヶ月後の幹も含めた枝数をa(n)とすると、フィボナッチ級数の漸化式が成り立つ。

株の波動理論

  • 日次単位で考えて、相場の底や天井から数えてフィポナッチ数字番目の日に次の天井や底が出現するというラルフ・ネルソン・エリオット(1871-1947)によるエリオット波動理論(The Elliott Wave Theory[1938])がそれです。 この理論によると、(1)上昇→(2)下降→(3)上昇 →(4)下降→(5)上昇→(6)下降→(7)戻し→(8)下降の8つの波で1つのサイクルとされます。
  • 「エリオットの波動論」
    上昇波動においては進行(上昇)5波と訂正(下降)3波の連続した波動からなり、
    下降波動においても同様に進行(下降)5波、訂正(上昇)3波の連続した波動になる。
そのひとつひとつの「波」においても同様の波動が見られ9段階の循環をして
ひとつのサイクルを構成している。(フラクタルな相似波形)
この波動を繰り返し相場が構成されていると考える。

  進行(上昇)5波 5波→3波→5波→3波→5波 合計 21波
  訂正(下降)3波 5波→3波→5波      合計 13波
                       合計 34波
というように各々の1波が次々に細分化されて、次には55波、89波となり合計は144波
となっていくのです。
そして、この数字をならべていくと、

 3-5-8-13-21-34-55-89-144………………「フィボナッチ数列」となる。

  • チャート分析の一種。くれぐれも盲信して、予想に使わないように!!
  • フラクタルな相似波形があちこちにあるという見方は、経済物理学からも言われている。
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参考になるリンク


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Last-modified: 2010-04-14 (水) 15:39:02 (5124d)