リスク中立確率とは †現在の安全利子率が0.03(3%)で所与であったとしよう。また資産の現在価格も100円と所与であるとしよう。 将来の起きうる可能性のある複数の価格の期待値を、現在の安全利子率で割り引いたときに、現在の価格になるように求めることができる。この価格をベースに、リスク中立確率を定義できる。 0時点で100円の資産が、将来の1時点で、125円になるか、85円になると予想したとする。この時、リスク中立確率qは、次の等式から計算される。 現在価格=100円 割引現在価格=(125*q+85*(1-q))/1.03 この両者が一致する確率がリスク中立確率であり 100円=(125*q+85*(1-q))/1.03 より リスク中立確率: q=0.45 効用理論では、人によって主観確率が異なるとするが、現在100円の資産が125円に上昇したり、85円に下落したりするであろうと将来の確率を予測している当事者の主観とは全く切り離れたところで決定される。またリスク回避的であろうがなかろうが、現在の市場価格と安全利子率という市場利回りから計算できる確率であり、リスク中立確率(qメジャー)とよぶ。 CAPMとリスク中立確率 †現在の価格S、安全利子率r、将来の価格Pとし、リスク中立な確率qを使った期待値操作をEqとすれば、 Eq(P)/(1+r)=S 1式 が成立している。 一方でCAPMは通常資産収益率((P-S)/S)をベースに考える。この資産のベータをβ、市場収益率をE(m)を用いて次式がCAPMの式である。 E(P)/S=(1+r)+β(E(m)-r) 2式 1式と2式を比較してみよう。1式から1+r=Eq(P)/Sであり、これを2式に代入すれば E(P)/S=Eq(P)/S+β(E(m)-r) 3式 が得られる。 CAPMを利用すると、均衡での将来の期待価格は、リスク中立確率を利用した将来価格に、特定資産の超過収益によってもたらされる価格分を加えたものとなるのである。この超過収益が将来の特定の資産の不確実性に対するリスクプレミアムとみなすことができる。
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