無駄な努力? †
これまでに、解けないことがあきらかになった問題は、多数ある。
しかし、これは無駄な努力ではなく、解けないことが明らかになる過程で数学の進歩がみられた。
解けないことが明らかになった代数的な問題をリストアップしてみよう。
円積問題:円の正方形化 squaring the circle †
「与えられた長さの半径を持つ円に対し、定規とコンパスによる有限回の操作でそれと同じ面積の正方形を作図することができるか」という問題である。
- 英語では、「square a circle(円を四角にする)」という言葉を、不可能なことを企てるという意味で使っている。
- 正方形化を定規とコンパスだけを使って作図する問題として提示したのはキオスのオイノピデスが最初だと考えられている。ジェームズ・グレゴリーは、1667年に「Vera Circuli et Hyperbolae Quadratura (円と双曲線の正方形化)」において、円積問題は不可能だと証明しようとした。失敗したが、Πの代数的性質の問題であることが明らかになった。
- 1882年に、円周率が超越数であることが示されたことにより、円積問題は実現不可能だと証明された。ヨハン・ハインリッヒ・ランベルトは、1768年の論文で π が無理数であることを証明。
ギリシャの3大作図問題 †
ギリシア時代の数学者たちによって次の3つの作図が定木とコンパスによって可能か、という問いがたてられた。
- 1.円積問題:√Πの作図
- 2.立方体倍積問題:任意の立方体の体積の 2 倍に等しい体積をもつ立方体を作ること:2の三乗根の作図
- 3.角の三等分問題:任意の角を三等分すること:cosθの作図
- これらは全て定木とコンパスのみでは作図できないことが証明されている。
- ワンツェル(1837)によって立方体倍積問題が解けないことが証明された。
作図可能な正多角形:Gauss †
ガウスはさらに、正 n 角形が作図可能であるための必要十分条件が、n が2の冪と相異なるフェルマー素数の積、すなわち n = 2^p・FaFb?…Fc(Fa , Fb , … ,Fc は全て異なるフェルマー素数、p は非負整数) の形であることを示した。
- 作図可能な正n角形は
nが 3, 4, 5, 6, 8, 10, 12, 15, 16, 17, 20, 24, 30, 32, 34, 40, 48, 51, 60, 64, 68, 80, 85, 96,… の場合である。
- 1796年3月30日にガウスが、正十七角形が作図可能であることを発見した。同時に、及び17もしくはこれらの頂点の数に2の冪を乗じた数の頂点を持つ正多角形(正五十一角形、正八十五角形、正二百五十五角形など)が作図可能であることも発見されたことになる。
定規とコンパスによる作図とは †
数学的には、定規とコンパスによる作図で表せるのは二次方程式を繰り返し解いて得られる範囲の数であることが知られている。
有理数、平方根と四則演算を繰り返し用いて得られる数は作図可能である。
ただし、
- 目盛りの無い定規を使うこと
- 無限回繰り返さないこと
が条件である。無限回繰り返せば、Πも近似できる(円積問題の近似解法)。
任意の角度の三等分問題:3次方程式の根 †
代数式は、それがせいぜい加減乗除および開平を含むとき、およびそのときに限り作図可能であるが、角の三等分は、三次方程式の根の長さを作図する問題であるので作図不可能であった。
- 1837年にワンツェルは角の三等分問題と立方体倍積問題は、三次方程式を解かなくてはならないことを示した。
- 点(0,0)と点(1,0)および長さcosθを与えた時に、長さcos(θ/3)を得ることと同じです。三角関数の公式 cosθ=4(cos(θ/3)の3乗)-3cos(θ/3) より、それは3次方程式を解くことになります
正n角形の作図可能性 †
円分多項式やド・モアブルの定理との関連がある。