大数の法則 †大数の法則とは コイン投げやサイコロで実感できるように、何度も試行すれば、コインの場合は表がでた割合は1/2に近づくし、サイコロではほぼ同じ出目数に近づくし、出目数の平均は3.5に近づく。このように、何度も同じ試行を独立に繰り返す時、確率変数の和の期待値が、限りなく母集団の期待値に近くなるという法則である。 大数の法則とは †ヤコブ・ベルヌーイ(Jakob Bernoulli、1654- 1705)による弱大数の法則を紹介する。 Xiを互いに独立で同じ確率分布に従う確率変数とする。その確率分布の期待値をμとし、平均値 X*=(x1+x2+...+xn)/n をサンプル平均とする。 下記の3つを仮定する 独立性:確率変数X1,X2, · · ·,Xn が互いに独立 平均の同一性:μ = E(Xi) , i = 1, 2, · · · , n 分散の有限性:σi^2 = V (Xi) ≤ σ2 , i = 1, 2, · · · , n この時、任意の正数εについて n-->無限大の時 Prob{| x*-μ|>ε }--->0
チェビシェフの不等式 †チェビシェフの不等式は、不等式で表される、確率論の基本的な定理である。パフヌティ・チェビシェフにより初めて証明された。
標本あるいは確率分布は、平均のまわりに、ある標準偏差をもって分布する。この分布と標準偏差の間に、どのような標本・確率分布でも成り立つ関係を示したのが、チェビシェフの不等式である。例えば、平均から 2標準偏差以上離れた値は全体の 1/4 を超えることはなく、一般にn標準偏差以上離れた値は全体の 1/(n^2) を超えることはない。
任意の事象 E に対して、すると、事象 X ≥ a が起こるれば1、起こらなければ0となるような特性確率変数 I(X)を考える。 I(X ≥ a)=1 I(X<a)=0 この時、 aI(X ≥ a)=a となるが、一方X ≥ aであるので aI(X ≥ a)<=|x| となる。 両辺の期待値をとって E(aI(X ≥ a))<=E(|x|) 左辺はaProb{|X|≥ a}と同じであるので aProb{|X|≥ a}<=E(|x|) a > 0 だから、両辺を a で割ればマルコフの不等式が成立することが判る。 任意の実数ランダム変数 Y と任意の正の実数 a に対して、マルコフの不等式から Pr(|Y| > a)≤ E(|Y|)/a であることがわかる。 a = (σk)2 として、確率変数 Y = (X − μ)2 にマルコフの不等式を適用することで、チェビシェフの不等式が証明できる。
である。 大数の法則の証明 †チェビシェフの不等式を期待値及び分散に適用する. X*=(x1+x2+...+xn)/n とおくと、独立な試行なので E(X*)=nμ/n=μ となる。 また独立性より V(x*)=(σ1^2+σ2^2+...+σn^2)/n2 < σ^2/n なるσが存在する(分散の有限性より) チェビシェフの不等式より Prob{|x-μ|≥k}<=(σ^2/n)k^2 上式の右辺は、n-->無限大 の時0に近づくので、大数の法則が証明された。 |