確率論(かくりつろん、Probability theory) †確率論とは、非決定論的過程、すなわち、ある現象の次の状態は、部分的には前の状態から決定されるが、完全に前の状態には依存しておらず、確率的な予言しかできない偶然現象に対して数学的なモデルを与え、解析する数学の一分野である。17世紀にカルダノ、パスカル、フェルマー、ホイヘンス等によって数学の一分野としての端緒が開かれた。 もともとギャンブルの研究として始まったが、今では保険や投資などの分野で実用されている。 現代数学の確率論は、アンドレイ・コルモゴロフの "確率論の基礎概念"(1933年)に始まる公理主義的確率論である。 確率変数とは †関数である。 順に概念を説明する。
確率論においては集合であり Ω と書く。空集合でない集合ならなんでも標本空間としてよい。意味的には、確率を問題としている領域において、ランダムに起こりうる現象の結果をすべて集めてきた集合である。確率論的な現象は「Ω からひとつの元 ω が現れるが、どの元が現れるかあらかじめわからない」ということである。
事象とは、 Ω の任意の部分集合である。すべての事象を集めた集合 F は可算加法族になっている必要がある。可算加法族(countably additive class)とは、集合 F の部分集合からなる族 X であって、可算回の加法、乗法と補演算という集合演算について閉じていて、加法についても乗法についても単位元を持つようなもののことである。 以下の条件をみたすものを加算加法族と呼ぶ F は空集合を含む。 E が F の元ならば E の補集合も F の元である。 E1, E2, E3, ... が F の元の列すなわち、高々可算な族ならば、その和集合も X の元である。
各事象に対して 0 以上 1 以下の数を対応させる関数を確率測度といい P と書き、事象 A の起こる確率は P(A) となる。Ω 自体は常に全事象と呼ばれる事象であり、全事象の起こる確率は 1 でなければならない。 p(Ω)=1
標本空間 Ω と事象の全体 F と確率測度 P の組を確率空間と呼ぶ。確率の問題を確率論的に定式化するということは、この確率空間を定めることである。
Ωの上で定義された確率変数Xとは、Ωから実数空間Rへの写像で、Rのあらゆる部分集合の逆写像がΩの上の事象であるものをいう。
Xが可算個の値をとるならば離散型確率変数、 Xが連続的な値をとるならば連続型確率変数である。 確率の公理 †確率測度の定義は、コルモゴロフによる次のような確率の公理の形にまとめることが出来る。 確率測度(かくりつそくど)とは、可測空間 (S, E) に対し、E 上で定義され P(S) = 1 を満たす測度 P のことである。 このとき、三つ組 (S, E, P) のことを確率空間と呼ぶ。さらに、集合 S を標本空間、S の元を標本あるいは標本点、完全加法族 E の元を事象あるいは確率事象とよぶ。また、E の元としての S を全事象という。
条件付き確率 †事象AとBの同時発生確率 P(A∩B)
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