自己回帰移動平均モデルとは:Autoregressive moving average model、ARMAモデル †統計学において時系列データに適用されるモデルである。George Box と G. M. Jenkins の名をとって "ボックス・ジェンキンスモデル" とも呼ばれる。
ARMA(p, q)の定義 †ARMA(p, q)という表記は、p次の自己回帰とq次の移動平均を組合わせたモデルを指す。 yt=a1yt-1+a2yt-2+...+apyt-p + b1ut-1+b2ut-2+...+bqut-q
自己回帰モデルと最小二乗法 †AR(p)モデルは次の式で表される。 yt=c+a1yt-1+a2yt-2+...+apqut-p+ut C:定数項 誤差項utは、σ2の分散をもつホワイトノイズ
AR(1)の場合 †yt=C+ayt-1+ut
パラメータ推定:予測誤差二乗和の最小化:The Yule Walker Equations for the AR Coefficients の方程式 †観測値の自己相関係数は、信号の特徴抽出にも用いられます。この自己相関係数を用いる代わりに自己回帰モデルを作って、分析したり予測することも考えられます。 パラメータの推定方法に、観測値の自己相関係数を用いたYule Walker Equations(ユール・ウオーカーの方程式があります。
自己回帰モデルの係数を求める正規方程式(Yule-Walker 方程式)の導出 †ytを過去のP 個の観測値yt-1,yt-2,....yt-pの線形結合で表現してみよう。 y*t=a1yt-1+a2yt-2+...+apyt-p このとき、t期までの観測データの予測誤差は、 et=yt-y*t t=0,1,2,...t で与えられるが、この予測誤差の二乗期待値σ^2は J=E( et^2) であたえられる。 J=E{[yt-a1yt-1-a2yt-2-...-apyt-p]^2} =ΣΣ akaj E(yt-lyt-j) 前のΣはk=0~p,後ろのΣはj=0~pの和 =Σak Σaj Rj-k
この予測誤差の二乗和を最小にする係数を求める式がYule-Walker 方程式であることを示そう。なお、係数は a = (1,a1,a2,...ap) とする(実現値yt に乗じるa0 は1 と考える)。つまり、式をa0 = 1 を除くakで偏微分して0 とおけば、次のp個の線形式が得られる。 ΣRj-kaj=0 k=1~p Σはj=1~pの合計 式(1) また、a0 についてはそのまま書き下すと、 σ*^2=ao(a1R1+a2R2+...+apRp) =a1R1+a2R2+...+apRp=ΣRj 式(2) が成立する。 なお、一般に、式(1) と式(2) をあわせてYule-Walker 方程式と呼ばれている。 Yule-Walker の方程式の逐次解法 †逐次解法が存在する。 Levinson アルゴリズムとも呼ばれる。詳細は、下記を参考のこと。 自己相関係数のパワースペクトラム(フーリエ変換)による計算 †自己相関関数Rk とパワースペクトルE(n) = |X(n)|^2 は、フーリエ変換によって結ばれている。 この関係はウィーナーヒンチンの定理とよばれ、 E(n) = F[Rk] :F(・)はフーリエ変換 Rk = F-1[E(n)]:F-1(・)は逆フーリエ変換 と表される。 この関係を用いると、次のように自己相関関数が計算できる。
参考 † |