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#freeze
*ポートフォリオとは:portfolio [#a0b41ee3]
ポートフォリオとは、n種の資産に一定の割合で投資することである。
各資産の収益に違いがあるので、1年後のポートフォリオの)収益は、ポートフォリオによって異なる。これを最大化することを、ポートフォリオ最適化とよぶ。
現時点で、総額X0を、各資産X0i,i=1~nに、それぞれwiの割合で投資する。
X0i=wi・X0
1年後の資産総額は次式で表わされる。
X1= Σ (1+ri)・x0i i=1~n
= Σ (1+ri)・wi・x0
=X0・[1+Σwi・ri]
但し、 Σwi=1であり、Σx0i=x0 である。
*ポートフォリオの収益 [#g279ec88]
ポートフォリオの収益は rp=(X1-X0)/x0 である。
rp=Σ wi・ri
で表わされる。
*不確実性 [#e1e37f6b]
各資産の利回りriが確率変数の場合、rpは、確定できず、期待値や分散が意味を持つ。
平均分散モデルによって、これを表現する。
*例題:2つの収益資産の和の平均と分散 [#u2c5ac54]
資産額2万円を1万円づつ、AとBに投資した場合の収益率rP=rA+rBの平均と分散を求めよ。
-期待値は、それぞれの期待値の和となる。
E(rp)=E(rA+rB)=E(rA)+E(rB)
-分散は、それぞれの分散に共分散の2倍を加えたものになる。無相関ならそれぞれの分散の和。
V(rP)=E[{[rA-E(rA)+rB-E(rB)}^2]
=V(rA)+2・COV(rA,rB)+V(rB)
但し、COV(rA,rB)=σAB=E[(rA-E(rA))・(rB-E(rB))]
--''知見:負の相関があれば、分散は小さくなる。''
''すなわち、rAに投資したとする。さらにrBまたはrCを選ぶ場合、どちらも同じ利回りであっても、負の相関がある資産rBを選んだポートフォリオのリスク(分散)は無相関な資産rCのポートフォリオよりも、リスク=分散をより小さくできる。''
分散=リスクを小さくできるということは、収益を得る確実性がより高いということになる。
*ポートフォリオの収益の期待値 [#gb946f98]
線形性より、ポートフォリオの期待収益は、各資産の期待収益の和になる。
E(rp)= Σ wiE(ri) i=1~n
*ポートフォリオの収益の分散 [#e9c5c39a]
V(rp)=E[(rp-E(rp))^2]
=E[(Σwiri-ΣwiE(ri))^2]
=E[(Σwiri-ΣwiE(ri))・(Σwjrj-ΣwjE(rj))] i=1~n,j=1~n
=ΣΣ wi・wj・σij i=1~n,j=1~n
--2個の場合かつw1=w2=1/2の場合、前の計算のようになることが分かる。
V(rp)=1/4・[V11+V12+v21+V22] Vij=V(ri,rj)
=1/4・[V(r1)+2・σ12+V(r2)]
*2資産のポートフォリオ [#rb259b56]
rAとrBをwAとwBの割合で投資するとしよう。ここでA資産の割合wAを未知数wとしよう。wB=1-wである。
期待値は
E(rP)=w・E(rA)+(1-w)・E(rB)
分散は
V(rp)=E[{w・rA+(1-w)・rB - w・E(rA)+(1-w)・E(rB)}^2]
=E[{w・(rA-E(rA))+(1-w)(rB-E(rB))}^2]
=w^2・E(rA-E(rA))^2 + 2w(1-w)E[(rA-E(rA))(rB-E(rB)]+(1-w)^2・E(rB-E(rB))^2
ゆえに
V(rp)=w^2・σA^2+2w(1-w)σAB+(1-w)^2・σB^2
''この意味するところは、資産xAの割合を変更することで、ポートフォリオの分散を小さくできることとなる。''
また、相関係数の定義
R=σAB/[σA・σB]
を使って、式を書き換えると
V(rp)=w^2・σA^2+2w(1-w)R・σA・σB+(1-w)^2・σB^2
-完全に無相関のとき:R=0
V(rP)=w^2・σA^2+(1-w)^2・σB^2
-完全に負の相関(1次従属)のとき
V(rP)=w^2・σA^2-2w(1-w)+(1-w)^2・σB^2=[w・σA-(1-w)・σB]^2
--σp=w・σA-(1-w)・σBであるので、0<σA<σBと仮定して、比較するために小さい方のリスク資産を減算すると、σp-σA=wσA-σA-(1-w)σA =-(1-w)(σA+σB)<0 となり、ポートフォリオのリスクがリスクの低い資産のそれよりもさらに低くなることがわかる。リスクの大きいほうの資産を減算すれば σp-σB=wσA-σB-(1-w)σB =w(σA+σB)-2σB <2(w-1)σB<0 となり、w<1であるから、やはりポートフォリオのリスクがもとの資産のリスクよりも小さくなる。
-完全に正の相関(1次従属)のとき
V(rP)=w^2・σA^2+2w(1-w)+(1-w)^2・σB^2=[w・σA+(1-w)・σB]^2
--σp=w・σA+(1-w)・σB となり、wを変えることで、低いリスクの方に近づけることができるが、それよりはリスクが大である。
*平均・分散平面:リスク・リターンの関係 [#f6c16d32]
''ポートフォリオのリスクとリターンはその分散と平均で定義される。''
そこで、横軸xに標準偏差(√分散)縦軸yにリターン(平均)を配置して表現する。
Y=E(rP)=w・E(rA)+(1-w)・E(rB)
X=σp=SQRT(w^2・σA^2+2X(1-w)R・σA・σB+(1-w)^2・σB^2)
-完全に無相関のとき:R=0
x=σp=SQRT(w^2・σA^2+(1-w)^2・σB^2)
-完全に負の相関(1次従属)のとき
x=σp=|w・σA-(1-w)・σB|
-完全に正の相関(1次従属)のとき
x=σp=w・σA+(1-w)・σB
*ポートフォリオ・ダイアグラム定理 [#hd2e9c76]
''定理:資産A、Bを非負の荷重和したポートフォリオの平均と標準偏差は、2つの原資産の点とy軸の点y*=(E(rA)σA+E(rB)σB)/(σA+σB)で囲まれる三角形の内部にある。''
-W=1で資産Aの点を表わし、w=1で資産Bの点を表わす。
-相関係数が、-1と1の間の時は、
Wが1から0に減少するとともに、資産A点と資産B点を結ぶ2次曲線(放物線)を資産B点に近づく。
-完全に負の相関の時は、Wを消去すれば
W=(x+σB)/(σA+σB) w>σB/(σA+σB)の時
W=(-x+σB)/(σA+σB) w<σB/(σA+σB)の時
より
y=E(rP)=w・E(rA)+(1-w)・E(rB)
=E(rA)(x+σB)/(σA+σB)+E(rB)(σA-x)(σA+σB)
なる1次式となるが、X=0を代入すれば、y軸上の点はy*=(E(rA)σA+E(rB)σB)/(σA+σB)であることが分かる。これはy軸の点y*=(E(rA)σA+E(rB)σB)/(σA+σB)と資産A点を結ぶ直線、あるいは資産B点を結ぶ直線である。
-完全に正の相関の時は、Wを消去すれば
W=(x-σB)/(σA-σB)
より
y=E(rP)=w・E(rA)+(1-w)・E(rB)
=E(rA)(x-σB)/(σA-σB)+E(rB)(σA-x)(σA-σB)
なる1次式となるが、X=0を代入すれば、y軸上の点はy*=(E(rA)σA-E(rB)σB)/(σA-σB)であることが分かる。これは、図で示す点Aと点Bを結ぶ直線である。
#ref(portfolio diagram.gif)
*ポートフォリオ構築とはリスクの低減である [#b741d7fb]
二つの資産の相関係数(あるいは共分散)の値によっては、ポートフォリオは、組み入れる個々の資産のリスクよりもさらに低いリスクを実現することができる。