#freeze
*2点間を結ぶ最短の連続曲線は直線 [#n5d1bad3]
あたりまえですが・・・
証明できますか。

この問題を例に挙げて、汎関数、変分法、オイラーの方程式を学びましょう
*2点間を結ぶ連続曲線 [#s22e73a4]
これを y=f(x)としましょう。
区間(0,1)の間の、この曲線の長さを積分で表現しましょう。
直角座標系での微小な線分dsは、
 ds^2=(dx)^2+(dy)^2
で表されます。
そこで 適当な区間の長さIは
 I=∫ ds= ∫SQRT((1+(dy/dx)^2)dx
です。上の式が最小となる関数y=f(x)を求めるとよいです。
ここで、Lなる関数を考えます。これは、上の積分の中の関数です。
 L=L(x,y,dy/dx)=SQRT((1+(dy/dx)^2)  ・・・・eq.1
問題は、I=∫L(x,y,dy/dx)dx が局地をもつような関数Lを求めることです。

ここで、変分を定義します。
#ref(hennbun.JPG)
y(x)の近傍に関数Y(x)を考え、変分δyとは、yとYの差分であり、xの関数です。
 δy=Y(x)-y(x)               ・・・・eq.2
これから長さLの変化をδLとすれば
 δL=L(x,Y,dY/dx)-L(x,y,dy/dx)     ・・・・eq.3
で表されます。
次に関数Y(x)とy(x)の点xにおける微分係数の差をδ(dy/dx)=δy'とすれば
 δ(dy/dx)=dY/dx-dy/dx=d(Y-y)/dx=d(δy)/dx ・・・eq.4
上式をみれば、δ(dy/dx)はd(δy)/dxと同じであり、変分と微分が交換可能という性質がわかります。
ここで、長さの変化δIをeq.2とeq.3を使って、eq.4の性質から計算します。
 δL=L(x,Y,dY/dx)-L(x,y,dy/dx)
   =L(x,y+δy,dy/dx+d(δy)dx)-L(x,y,dy/dx)
   =L(x,y+δy,dy/dx+δ(dy/dx))-L(x,y,dy/dx)
   =(∂L/∂y)δy+(∂L/∂y')δy'     ・・・・・・eq.5
変分計算は、微分計算と同様のルールで適用できることが分かります。
長さIが、最短であることは、yとy+δyの差がなくなること
 δI=δ(∫L(x,y,dy/dx)dx)=∫δLdx=0 ・・・・・・・eq.6
であることです。
そこで、eq.5を上の式に代入しeq.4を用いてて解いてみましょう
 ∫[(∂L/∂y)δy+(∂L/∂y')d(δy)/dx]dx=0
上の式の第2項は部分積分すると
 第2項=∫(∂L/∂y')δy'dx=∫[(∂L/∂y')d/dx(δy)]dx={(∂L/∂y')・δy}-∫d/dx(∂L/∂y')・δydx
ここで積分の両端が固定されている条件からδ(y0)、δ(y1)がゼロとなるので、上式の左の項は無くなる。これを代入するとeq.6は
 ∫[(∂L/∂y)δy-d/dx(∂L/∂y')・δy]dx=0
 ∫[(∂L/∂y)-d/dx(∂L/∂y')]δydx=0  

上式は 任意にδyを選んでも成り立つためには、[]内の被積分関数がゼロである。
この条件を''オイラーの方程式''と呼び、下記の通りの式である
 (∂L/∂y)-d/dx(∂L/∂y')=0
Lがeq.1であらわされる2点間を結ぶ曲線の長さの問題の場合、オイラーの方程式は
 d/dx[∂/∂y'[SQRT(1+(y')^2)]=0
これから
 y'/SQRT(1+(y')^2 )=0 すなわち
 y'=dy/dx=0 (直線)
2点間を結ぶ最短の曲線は1直線である。


*問題: dy/dx=x の場合は2次曲線ですが、その長さを求めるには下記の公式が役に立ちます [#ic5f1f3f]
次の式を示しなさい。(積分定数:C)

 ∫√(1+X^2)dX = X*√(1+X^2) /2 + (Log(X+√(1+X^2)) /2 +C

-問題 Y = f(X) = aX^2 + bX + C の
 曲線の長さ L(X) を求めなさい。

-解法例:
f'(X) = 2aX + b
L(X) =∫ √(1+(2aX+b)^2) dX

 ここで t=2aX+b とおいて置換積分する。

 L(X)= (2aX+b)*√(1+(2aX+b)^2) /4a+Log((2aX+b+√(1+(2aX+b)^2)) /4a + C(積分定数)

 



*部分積分 [#w3d639d7]
 (f・g)'=f'・g+f・g'の両辺を積分して、整理すると得られる
#ref(bubun-sekibun.gif)


*汎関数 [#n57cdd42]
Lは汎関数です。ある関数y(x) に対して1 つの値L が対応するとき、L はy の汎関数でありL= L[y] と書くのです。
-物理では、エネルギー最小とか時間最小などの最適状態をもとめるためにこの汎関数をつかいます。
-Lをラグランジェ関数と呼んだりします。
 

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