#freeze
地球から発射される物体が、地球の引力に抗して飛び出して、人工衛星になったり、人工惑星になるために、必要なエネルギーや初速度速度を求めてみましょう。

*位置エネルギー [#uceee666]
力学的エネルギーは運動エネルギーと位置エネルギーです。
位置エネルギーは、基準の位置(例えば地球表面)からある点まで物体を動かした時消費されるエネルギーで散逸しないものが、その物体の蓄えられたとして、計算します。
質量mの物体を引力に抗してRmだけもち上げたとき、その物体の持つ位置エネルギーは地表を基準にすると、引力に抗しますのでmgの力でもち挙げる必要があります。そして移動距離がRですからmgRジュールだけ仕事をされる、物体の位置エネルギーはmgRです。
*運動エネルギー [#se1208f3]
運動エネルギー(うんどうエネルギー、kinetic energy)は、運動している物体が持つエネルギーである。言いかえれば、運動している物体を停止させるために必要なエネルギー(仕事)。
運動方程式では、質量x加速度=力ですので、この両辺を積分し、距離0からrメートルまで動かす仕事(エネルギー)をして、速度が0からvになったとしましょう。この仕事量求めてみましょう。
 ∫m・dv/dx=∫Fdx ただしF:一定、積分区間0=>r
左辺は ∫mv dv 積分区間は、0->v ですので
 (1/2)mv^2=Fr
すなわち、速度v質量mの物体の運動エネルギーは、(1/2)mv^2です。

これはエネルギー積分とも呼ばれ、「''物体の運動エネルギーの変化量は、その物体に加えられた仕事量に等しい''」ことを意味する。
*ガリレオの発見:振り子のエネルギー [#r5eaca95]

ガリレオによって、物体の振り子運動の観察により、物体の速度をv、高さをh、重力加速度をg、とすることで、
 gh = v^2/2
という関係が発見されていた。
振り子は高さhで静止(v=0)するので、両辺にmを掛ければ、左辺が位置エネルギーであり、右辺が位置h=0での運動エネルギーですね。高さhの位置エネルギーと高さ0での運動エネルギーが一致しますので、エネルギー保存則が成立していることがわかります。
自由運動(強制力のない運動)では
 総エネルギー=位置エネルギー + 運動エネルギー =一定 (保存則)



*脱出速度 [#d8d64846]
M:物体A(地球)の重さ m:物体B(ロケット)の重さ G:万有引力定数 とします。
 半径Rの位置で、位置エネルギーは -GMm/R
 中心からの距離rで、位置エネルギーは -GMm/r

したがって、初速度V、運動中の速さをvとすると、エネルギー保存則から

 (1/2)*m*(V^2)-GMm/R = (1/2)*m*(v^2)-GMm/r

全部の項にmが入っているので、約分できて、

 (1/2)*(V^2)-GM/R = (1/2)*(v^2)-GM/r

mに無関係。物体B(ロケット)の質量によらず、どの大きさの質量でも、同じ結果を得ます。

ちなみに、g:地表での重力加速度 は、地球の半径をRとすれば、g=GM/(R^2)

また、無限遠でロケットが止まらないためには、(vが0以上であるためには)、(1/2)*(V^2) > GM/R したがって、V > root(2GM/R) = 脱出速度 地球で約秒速11.2km

*定数 [#h029848e]
 万有引力定数:G=6.67x!0^-11 m^3/s^2/kg
 地球質量:M=5.97x10^24 kg
 地球半径:R=6.36^10^6
 太陽質量:Ms=1.99x10^30 kg
 地球の公転半径:Re=1.50x10^11 m
*衛星速度: 第一宇宙速度 [#t2fd5816]
地球の地表すれすれに衛星として存在するために必要な速さです。

地球の重心を中心として速さvの等速円運動をした時に質量 m の物体に働く遠心力はmv^2/Rである。このとき物体に働く重力はGMm/R^2である。
遠心力と重力が釣り合うとして求める。すなわち、
 mv^2/R = GMm/R^2
 v=√GM/R=7.91km/s

*脱出速度:第二宇宙速度 [#u236f0d1]
地球の重力を振り切るために必要な最小初速度。太陽を回る人工惑星になるためには第二宇宙速度が必要である。地球の重力圏を脱出するという意味で脱出速度とも呼ばれる。
第一宇宙速度の√2倍となり、約 11.2 km/s。

地球から無限遠を基準とすると、質量 m の物体の地球表面における地球重力によって生じる位置エネルギーは、
 E=-∫(-GMm/r^2)dr=-GMm/R 積分区間は無限大からRまで
これを打ち消すだけの速さの運動エネルギーmv^2/2を与える必要がある。
すなわち
 (1/2)mv^2=GMm/r
 v=√2GM/R = 11.2km/s

トップ   編集 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS