#freeze
*資産の収益:Return of Asset [#fa62f089]
生産設備や金融資産などへの資産(asset)への投資は、収益を生む。
時刻0で投資し、1年後にこれを売却した場合を想定する。
投資金額をX0、売却価格をx1としたとき、総収益(total return)は、次式で定義される。
 総収益=受取金額-投資金額=x1-x0
そして、収益率rは、次式で表わされる。
 収益率 r =(受取金額-投資金額)/投資金額
 r = (x1-x0)/x0
収益率のことを、単に収益(Return)とよぶことが多い。
 x1 = (1+r)x0
収益率は利子率と似たような作用をすることが、上式でわかる。

*収益の不確実性 [#g5ed9009]
1年後の資産の金額は不確実である。
そこで、確率的な事象として定式化される。

すなわち、r は確率変数とし、その期待値は
 E(r)= Σ ri・pi i=1~m
 piはriが生起する確率。Σpi=1。piは非負。

-収益の性質:期待値
--1.確定値certain value:ランダムでないならば、E(r)= r
--2.線形性linearrity :任意の実数α,βに対して、2つの投資利回りrAとrBは
 E[α・rA + β・rB]= αE(rA) + βE(rB)
--3.非負性nonnegativity:もしrが非負ならば、E(r)も非負である。符号が保存される。

-収益の分散

rの期待値をE(r)とする時、r-E(r)の平方和も確率変数である。分散とは
 V(r) = E[(r-E(r))^2]
で定義される。

分散を表わす記号としてσ^2が良く用いれる。すなわち分散の平方根をσで表わし標準偏差と呼ぶ。
分散の計算に役立つ公式は以下のとおりである。
 V(r) =σ^2= E[r-E(r))^2]=E(r^2)-E(r)^2

-2つの資産の共分散
共分散は、次式で定義される。
 COV(rA,rB)=E[(rA-E(rA))・(rB-E(rB))]
分散と同様に、簡単に計算するには、次式が用いられる。
 COV(rA,rB)=E((rA・rB))-E(rA)・E(rB)

-相関係数

資産Aと資産Bには、相関があることが通常である。
2つの確率変数の間の共分散が零の場合、これらの変数は無相関であるという。

相関係数は、一般に次式で定義される。-1から1の間の実数値をとる指数である。
 相関係数^2=COV(rA,rB)/[σ(A)・σ(B)]

共分散は、次の上限をもつ。
 COV(rA,rB)=<σ(A)・σ(B)
*練習問題 [#v0383e87]
正5角形のサイコロを2回投げるとする。1から5の目があり、試行は独立である。
出た目をxとするとき、(x-3)*10%の収益率があると仮定しよう。例えば4の目がでれば、収益率r=0.1である。
この時、次の問題に答えよ。
-1.1回の試行の収益率の期待値と分散を求めよ。
-2.掛け金は1万円であり、開始前に1回目と2回目の掛け金をそれぞれw・1万円、(1-w)・1万円を決めるとしよう。この時、トータルの期待収益率の期待値と分散を表せ。
-3.分散を最小にするには、どのような割合wで掛ければ良いか?。

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