#freeze
*二項分布とは [#sed120c1]
ある集団において,特性 A を持つものの割合が p であり,持たないものの割合が q であるとする( p + q = 1 )。このとき,集団から無作為に n 人を抽出したとき,特性 A を持つものが x 人である確率。
n 人のうち x 人が特性を持つ組合せは nCx 通りある
x 人が特性 A を持つ確率は p^x,残り n - x 人が特性を持たない確率は q^(n - x )であり,両者が共に起こるのは両者の積である。
 f ( x ) = nCx p^x q^(n - x),  x = 0,1, … ,n,p > 0,q > 0,p + q = 1
 nCx=n!/[x!・(n-x)!]
*二項分布の平均と分散 [#mf16aea1]
二項分布の平均 E ( x ) と分散 V ( x ) は
 E ( x ) = n p, V ( x ) = n p q
である。
--平均の証明
 μ=E ( x ) =Σxf(x)
を求めるために,次の2項展開を考える
 (q+pt)^n=ΣnCk q^(n-k) p^kt^k
両辺をtで微分する。
 np(q+pt)^(n-1)=ΣnCk q^(n-k) p^k・k ・t^(k-1)   (1)式
t=1と置くと、上式はq+p=1より
 np=ΣnCk k q^(n-k) p^k=Σxf(x)=μ
(証明 終わり)
--分散の証明
 V=E ((x-μ)^2)=Σ(xーμ)^2・f(x)=E(x^2)-μ^2
を求める。
(1)式を、再度微分する。
 n・(n-1)・p^2(q+pt)^(n-2)=ΣnCk q^(n-k) p^k・k ・(k-1)t^(k-2)
これにt=1を代入し、q+p=1より
 n・(n-1)・p^2=ΣnCk q^(n-k) p^k・k ・(k-1)=E(k^2)-E(k)
書き換えてE(k)=μ=npより
 E(k^2)=n・(n-1)・p^2 - np
最初の分散の式に代入して
 V==E(x^2)-μ^2=n・(n-1)・p^2 - np-(np)^2
  = n^2p^2-np^2+np-n^2p^2
  = np(1-p)=npq
(証明終わり)

*ベルヌーイ試行 [#zeef34a0]
1 回ごとの事象の生起確率 p が一定であるとき,実験を独立に繰り返し行うことを ベルヌーイ試行 という。

2項分布は、成功の確率 p のベルヌーイ試行を n 回行った時の成功の回数 x である。
-B(n, p) = f ( x ) = nCx p^x q^(n - x)

単独の x に関する確率を求めるよりも、ある区間に関する確率を求めることの方が多い。例えば、成功が a 回以下である確率、Pr{ x ≦ a } は
 ΣB(a, p) ただし Σはa=0~nの和
-これを累積2項分布という
#ref(Sum binominal.JPG)
*2項展開と2項分布 [#oc6a0e45]
二項展開から、
 [p + (1-p)]^ n = nC0 p^0(1-p)^n + nC1 p^1(1-p)^(n-1)+ … + nCn p^n(1-p)^0 =1
これは、n回ベルにーイ試行を行った場合の成功の回数が、0,1,2,・・・,nである確率を合計したもであり、当然、すべての成功する場合を尽くしているので、1に一致している。


*ベルヌーイ試行と大数の法則 [#lb3fb108]
ヤコブ・ベルヌーイ(Jacques Bernoulli 1654-1705)は確率論の基礎になる大数の法則を見つけた

硬貨を投げる際、投げる回数を多くすれば表と裏が出る確率は1/2に集中してくる、それより大きくなったり小さくなったりすることは無い。
またサイコロを投げた場合、回数が多くなればある目の出る確率は1/6である。このような現象は確率の本質的な性格で大数の法則と呼ばれる。
ベルヌーイはスイスの数学者で、名著「推測法」で新奇さ、素晴らしい実用性、極端な難解さを兼ね備えたベルヌーイの定理、一般的には「大数の法則」と呼ばれるものを発表して確率論の基礎を造った。
ベルヌーイ試行(Bernoulli Trials)とは白か黒か・表か裏か・成功か失敗か等、どちらかの事象が独立して起る確率を公式化したものである。

成功の可能性を(p)、失敗の可能性を(1-p)とする。n回の成功とm回の失敗の出る確率はつぎの公式で表わせる。

Prob(n成功、またはm失敗)=(n+m)!/n!×m!×p^n(1-p)^m


*ポアソン分布 [#kf66b686]
n が大きく p が小さい場合、np は適度な大きさとなるため、パラメータ λ = np であるポアソン分布が B(n, p) の良好な近似となる。
-λ = np が一定の場合、n を大きく(かつ p を小さく)しても分布には僅かな変化しか生じない.
すなわち、平均値が一定のベルヌーイ試行を、多数繰り返した場合の極限分布がポアソン分布になる。

-ポアソン分布は、平均も分散もλである。
*正規分布 [#z034cdc3]
np および n(1 − p) が5よりも大きい場合、B(n, p)に対する良好な近似として正規分布がある
これは、E ( x ) = n p, V ( x ) = n p q の正規分布で近似できる。

 N(np,np(1 − p))

-正規分布への近似は、アブラーム・ド・モアブルが1733年に著書 The Doctrine of Chances の中で紹介したのが最初である。今日では、互いに独立で同一の分布に従う n 個の確率変数の和の分布は B(n, p) になることが、中心極限定理によって確認されている。
#ref(binominal distribution.JPG)

*多項分布 [#l8e740c7]
多項分布(たこうぶんぷ、英: Multinomial distribution)は、確率論において二項分布を一般化した確率分布である。

二項分布は、n 個の独立なベルヌーイ試行の「成功」の数の確率分布であり、各試行の「成功」確率は同じである。多項分布では、各試行の結果は固定の有限個(k個)の値をとり、それぞれの値をとる確率は p1, ..., pk(すなわち、i = 1, ..., k について pi ≥ 0 であり、Σpi=1 が成り立つ)であり、n 回の独立した試行が行われる。確率変数 Xi は n回の試行で i という数が出る回数を示す。ベクトルX=(x1,x2,・・・,xn) は n と p をパラメータとする多項分布に従う。

#ref(multinominaldistribution.JPG)
-k=2 の多項分布を二項分布と呼ぶ。 
-期待値: E(xi)=npi
-分散 : V(xi)=npiqi=npi(1-pi)
-共分散: Cov(xi,Xj)=-npipj

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