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*最小分散ポートフォリオとは [#a9757f33]
n個の資産が市場に存在し、それらの収益率の期待値をE(ri),i=...
-''この問題は、マコービッツの問題と呼ばれ、1期間投資モデ...
-上場企業は1部上場のみでも1700社にもなるので、個別に複数...
-n個の資産を選んだ場合は、ベクトル形式での表示で最適化計...
--モダンポートフォリオ理論のはじまりは、経済学者H=マルコ...
*ポートフォリオの分散とは [#z8090fb5]
ポートフォリオの分散は次式で定義される。
V(rp)=E[(rp-E(rp)^2]
E(rp)=ΣwiE(ri)なので
=E[[Σwiri-wiΣE(ri)]^2]
=E[[Σwi(ri-E(ri))]^2]
期待値の中身が和の二乗であることに注意すると,以下のよう...
=E[ΣΣwiwj(ri-E(ri))(rj-E(rj))] i=1~n,j=1~n
=ΣΣwiwj・E(ri-E(ri))(rj-E(rj))
共分散σijは E(ri-E(ri))(rj-E(rj))で定義されるので、分散...
V(rp)= ΣΣwiwjσij
ただし、σiiは、i資産の分散σi^2に一致することに注意するこ...
*マコービッツ問題の解 [#uc2db035]
最小化すべき目的関数J(w1,w2,----,wn)は、
J=(1/2)ΣΣwiwjσij --->Min
制約条件は
Σwi・E(ri)=E(rp)
Σwi=1
--目的関数を、分散の1/2とした理由は、後の計算を簡単にする...
ラグランジュ乗数 λとμを用いて、ラグランジアン L を次式...
L=(1/2)ΣΣwiwjσij + λ[E(rp)-Σwi・E(ri)] + μ(1-Σwi)
まずは2変数の場合で解いてみよう。
L=(1/2)(wi^2σ1^2+w1w2σ12+w1w2σ21+w2^2σ2^2)
-λ[E(r1)w1+E(r2)w2-E(rp)] -μ(w1+w2-1)
ラグランジアンをw1,w2,λ,μについて偏微分して、それをゼロと...
σ1^2w1+σ12w2-λE(r1)-μ=0
σ21w1+σ2^2w2-λE(r2)-μ=0
Σwi・E(ri)=E(rp)
Σwi=1
上の4つの連立方程式を、w1,w2,λ,μの4つの未知数について解...
*危険資産のポートフォリオ:ベクトル表示 [#n99d7727]
上記の計算をベクトル表示で行ってみよう。
目的関数は、分散W'ΣWであり、ラグランジェ関数は、E(rp)をμp...
L(W)=(1/2)W'ΣW +λ(rp-W'r)+μ(1-W'1) --->Min by W
但し μr=(E(r1),E(r2))' 1=(1,1)'
W=(w1,w2)'
Σ=|σ11 σ12 |
=|σ21 σ22 |
停留条件は、L(w)をWで偏微分して0と置くことで
ΣW - λ・μr -μ1 =0
μp=W'μr
w'1=1
後の2つの式は制約条件になっている2本の式である。最初の式...
この解を求めてみよう。
第1式より
W= λ Σ^(-1)μr +μ Σ^(-1)1
共分散行列の逆行列をQと定義しよう。
Q=Σ^(-1)
そうすれば
W=λ Qμr +μ Q1
両辺を転置すれば、Qは対称行列であるのでQ'=Qより
W'=λ・μr'Q + μ・1'Q
このW'を、2つの制約式に代入すれば、次の2本の式を得る。
λ{μr'Qμr} + μ{1'Qr} =μp
λ{μr'Q1} + μ{1'Q1} =1
このλとμの2つのスカラー変数の連立方程式を解けば良いこと...
2資産の場合の係数を具体的に表わしてみよう。
Q=Σ^(-1)=adjΣ/detΣ
detΣ=σ11σ22-σ12^2
adjΣ=|σ22 -σ21|
|-σ12 σ11|
であるので、2本の式を
A λ + Bμ=μp
B λ + Cμ=1
で表示すれば
A=μr'Qμr=(E(r1),E(r2))(E(r1)σ22-E(r2)σ21 ,-E(r1)σ12+E(r2...
= (E(r1)^2σ22 + E(r2)^2σ11 -E(r1)E(r2)σ12)/(σ11σ22...
B=1'Qμr={E(r1)(σ22-σ12) + E(r2)(σ11 -σ12)/(σ11σ22-σ12^2)
C=1'Q1=(σ22 + σ11 -σ12)/(σ11σ22-σ12^2)
で表わせる。
このA=μr'Qμr、B=1'Qμr、C=1'Q1を使って、連立方程式から未定...
λ=(Cμp-B)/(AC-B^2)
μ=(A-Bμp)/(AC-B^2)
の式で一般のn資産の場合も求められる。
これを使ってポートフォリオWを計算すれば
W=λ Qμr +μ Q1
より
W={(Cμp-B)Qμr + (A-B・μp)Q1}/(AC-B^2)
但し、Q=Σ^(-1)、A=μr'Qμr、B=1'Qμr、C=1'Q1
で表わされる。これが最小分散ポートフォリオである。
2資産の場合のW1は、面倒な計算ではあるが、要素表示すれば
W1={(Cμp-B)/(AC-B^2)}{(σ22E(R1)-σ12E(r2))/(σ11σ22^2-σ12^...
+{(A-Bμp)/(AC-B^2)}{(σ11E(r2)-σ12E(r1))/(σ11σ22-σ12^2)}
=(σ22-σ12)/(σ11-σ22-2σ12)
そして
W2=1-W1
で表わされる。第1資産の保有率w1は、第1資産のリスク(分散σ1...
--行列式の性質から調べてみよう。
|A B|= |μr'Qμr 1'Qμr|
|B C| |1'Qμr 1'Q1 |
なる2x2行列は、次の行列式の積の形で表現できる。
|μr'| Q |μr 1|
| 1'|
ここで det(AB)=detA・detB を用いれば、AC-B^2 は、|μr ...
det|μr 1|=E(r1)-E(r2)
detQ=detΣ^(-1)=1/detΣ=1/(σ11σ22-σ12^2)
であるので
AC-B^2=(E(r1)-E(r2))^2/(σ11σ22-σ12^2)
が成立する。
この最適保有率の下での、ポートフォリオのリターンrpとリス...
μp=W'μr
停留条件式は
ΣW - λμr -μ1 =0
であった。この両辺にW'を掛けると
W'ΣW=λW'μr+ μW'1
を得る。
すなわち、以下のように整理できる。
w'Σw=λW'μr+ μW'1
W=λ Qμr +μ Q1
λ=(Cμp-B)/(AC-B^2)
μ=(A-Bμp)/(AC-B^2)
但し、Q=Σ^(-1)、A=μr'Qμr、B=1'Qμr、C=1'Q1
縦軸に収益の期待値y=rp、横軸に収益の分散x=W'ΣWをとれば、...
X=(λ^2)A+2(λμ)B+(μ^2)C
λ=(C・y-B)/(AC-B^2)
μ=(A-By)/(AC-B^2)
但し、Q=Σ^(-1)、A=μr'Qμr、B=1'Qμr、C=1'Q1
μは、ある定数であり、λもμもyの一次式であるので、''Xはyの2...
これが、リスク資産の効率的ポートフォリオである。
*危険資産の最適点:マーケットのポートフォリオ [#me51a055]
次に、固定金利rfを表わす点を、分散が零なので、y軸上の1点(...
この点と効率的ポートフォリオを表わす点(x*,y*)の2点を結ぶ...
この直線の傾きを最大とする点Mを求めてみよう。
直線の傾きβは、
β=(y*-rf)/X*
但しy*とX*は前記の効率的フロンティアの放物線上の点。
で表わされる。
*m個の危険資産のポートフォリオ [#p44fae41]
ベクトル形式で定式化しよう。
収益率の確率ベクトルを R=(r1,r2,...,rm)'とおく。この平均...
そして、共分散行列をΣ={σij}とする。
各資産をwiだけ保有するポートフォリオを重み付けベクトルW=(...
この時のポートフォリオの収益率の平均値と分散は次式で表わ...
E(rp)=W'μ
V(rp)=W'ΣW
いま、期待収益率E(rp)の目標値をμpと定めたとしよう。
期待収益率μpを与えるポートフォリオ(重み付け)は、一般に...
下図で示すように、3資産の場合の収益率の期待値と分散は、い...
Markovitzの最小分散問題は、図の太線で示した左上の領域(放...
--この領域を効率的フロンティアと呼ぶ。
定式化すれば、期待収益率が一定値μpのもとで、最小分散を与...
''これは、線形制約のもとで、Wの2次関数を最小化する2次計画...
(1/2)V(rp)=(1/2)W'ΣW --->最大化
制約式:E(rp)=W'μ=μp(一定)。1'W=w1+w2+...+wm=1
但し 1'=(1,1,...,1) ベクトル
有効フロンティアを解いてみよう。
停留条件は、下記のラグランジェ関数を最小化すればよい。
L(W)=(1/2)W'ΣW - λ1(W'μ-μp) -λ2(1'W-1)
停留条件は∂L/∂W=0より、最適解W*は
ΣW*-λ1μ-λ21=0
W*=Q[λ1μ+λ21] 但しQ=Σ^(-1)
これをW*'μ=μp と1'W*=1に代入して
λ1(μ'Qμ)+λ2(1'Qμ)=μp
1'Q[λ1μ+λ21]=1
から、ラグランジェ定数を求められる。2番目の式からλ2を求...
λ1(1'Qμ)+λ2(1'Q1)=1
より λ2={1-λ1(1'Qμ)}/(1'Q1)をW*に代入すると
W*=Q[λ1μ+λ21]=Q[λ1μ+{1-λ1(1'Qμ)}/(1'Q1)・1]
=λ1Q[μ-(1'Qμ)/(1'Q1)・1 + (1/1'Q1)Q・1
となる。残されたラグランジェ変数はλ1のみである。1番目の式...
λ1(μ'Qμ)+λ2(1'Qμ)=μp
λ1(μ'Qμ)+[{1-λ1(1'Qμ)}/(1'Q1)](1'Qμ)=μp
λ1{μ'Qμ-(1'Qμ)^2/(1'Q1)}+(1'Qμ)/(1'Q1)=μp
よって、λ1は次式で与えられる。
λ1={μp-(1'Qμ)/(1'Q1)}[(1'Q1)/{(μ'Qμ)-(1'Qμ)^2/(1'Q1)}
W*を整理すれば
W*=λ1Q[μ-(1'Qμ/1'Q1)1] + (1/1'Q1)Q1
の形となる。
そこでW*-(1/1'Q1)Q1を使って
[Σ[W*-(1/1'Q1)1'Q]Σ[W*-(1/1'Q1)Q1]=(λ1)^2[μ'-(1'Qμ/1'Q1)...
左辺は
W*'ΣW*-2W*Σ(1/1'Q1)Q1+(1/1'Q1)^21'QΣQ1
=W*'ΣW*-2(1/1'Q1)W*1+(1/1'Q1)^21'Q1
ΣQ=I(単位行列)であり、W*1=1なので
=W*'ΣW*-2(1/1'Q1)+1/1'Q1
=V*(rp)-1/1'Q1
となる。
右辺は
(λ1)^2[μ'-(1'Qμ/1'Q1)1']QΣQ[μ-(1'Qμ/1'Q1)1]
=(λ1)^2[μ'Qμ-2(1'Qμ/1'Q1)1'Qμ +(1'Qμ/1'Q1)^2・1'Q1]
=(λ1)^2[μ'Qμ-2(1'Qμ)^2/1'Q1 +(1'Qμ)^2/1'Q1]
=(λ1)^2[μ'Qμ-(1'Qμ)^2/1'Q1]
両辺を再表示すれば
V*(rp)-1/1'Q1=(λ1)^2[μ'Qμ-(1'Qμ)^2/1'Q1]
となる。すでに求めたλ1を代入整理すると、完成である。
このことから、期待収益μpと収益の最小分散V*(rp)=W*'ΣW*の関...
[V*(rp)-1/1'Q1]{μ'Qμ-(1'Qμ)^2/(1'Q1)}=[μp-1'Qμ/1'Q1]^2
が成り立つ。
''これが、有効フロンティアの式である。
期待収益μpの2次関数で、最小分散V*(rp)が表わされているので...
*平均-分散平面上の放物線:有効フロンティア [#v56f0bee]
上の導出から、リスク資産のポートフォリオについて、縦軸yに...
(y-a)^2=c(x-b)
但し、a=1'Qμ/1'Q1、b=1/1'Q1、c=μ'Qμ-(1'Qμ)^2/(1'Q1)
このように、係数(a,b,c)は、共分散行列の逆行列Qを使って、...
それでは、安全資産rfと有効フロンティアを結ぶ直線が有効フ...
直線の式はy=βx+rfで表わされるので、これを前記の(y-a)^2=c(...
M点(xM,yM)は
xM=(1/β){c/(2β)+a-rf}
yM=c/(2β)+a
β=(yM-rf)/xM
で表わされる。
-練習問題:2つのリスク資産のポートフォリオ
--問題1:r1,r2の平均ベクトルμと共分散行列Σが所与の時、rp...
--問題2:ポートフォリオの期待値が所与(E(rp)=rp*で一定)の...
--問題3:横軸xに、上記のポートフォリオの最小分散値、縦軸...
--問題4:安全資産rfとリスク資産rm(期待値μm、分散Vm=σm^2)...
--問題5:安全資産rfと先の有効フロンティアを結ぶ直線が有...
*効率的フロンティアと可到達領域 [#gcb4fb7b]
横軸にポートフォリオの分散、縦軸に期待値をとるダイアグラ...
効率的フロンティアとは、最小分散点よりも上半分の期待利回...
-3つのリスク資産のポートフォリオの収益率と効率的フロンテ...
#ref(efficient frontier1.JPG)
*安全資産も含めたポートフォリオ [#x9009c00]
無リスク資産の重みをwとし、リスク資産の重みは1-wとしよう...
E(rp)=w・rf+(1-w)・E(r)
σp = (1-w)σとなる。
w=1-σp/σを代入して、wを消去してみよう。
E(rp) = (1-σp/σ)rf+(σp/σ)E(r)
W=1の時、σp=0でありE(rp)=rfとなる。また、w=0の時、σp=σで...
これは、平均-分散平面上では、点(0,rf)と点(σ^2,E(r))を結ぶ...
#ref(efficient frontier.JPG)
*トービンの分離定理 [#r654c3aa]
上の図でわかるように、最適点Mは、ユニークに決められる。こ...
一方、安全資産と危険資産の組み合わせを行った場合の最適点...
-このことは、危険資産の中から最適な点Mを選ぶ危険資産内で...
-危険資産内での最適化ポートフォリオrpを選ぶ行為と安全資産...
*練習問題:3つの無相関な資産の場合 [#p2a1e5d3]
3つの互いに無相関な資産がある。どの資産も分散は1であり...
-1.ポートフォリオの最小分散点を求め。
-2.効率的フロンティアを表す式をσとE(r)の関係式で示せ。
-3.効率的フロンティアを図示せよ。(横軸をσ^2、縦軸をE(r...
終了行:
*最小分散ポートフォリオとは [#a9757f33]
n個の資産が市場に存在し、それらの収益率の期待値をE(ri),i=...
-''この問題は、マコービッツの問題と呼ばれ、1期間投資モデ...
-上場企業は1部上場のみでも1700社にもなるので、個別に複数...
-n個の資産を選んだ場合は、ベクトル形式での表示で最適化計...
--モダンポートフォリオ理論のはじまりは、経済学者H=マルコ...
*ポートフォリオの分散とは [#z8090fb5]
ポートフォリオの分散は次式で定義される。
V(rp)=E[(rp-E(rp)^2]
E(rp)=ΣwiE(ri)なので
=E[[Σwiri-wiΣE(ri)]^2]
=E[[Σwi(ri-E(ri))]^2]
期待値の中身が和の二乗であることに注意すると,以下のよう...
=E[ΣΣwiwj(ri-E(ri))(rj-E(rj))] i=1~n,j=1~n
=ΣΣwiwj・E(ri-E(ri))(rj-E(rj))
共分散σijは E(ri-E(ri))(rj-E(rj))で定義されるので、分散...
V(rp)= ΣΣwiwjσij
ただし、σiiは、i資産の分散σi^2に一致することに注意するこ...
*マコービッツ問題の解 [#uc2db035]
最小化すべき目的関数J(w1,w2,----,wn)は、
J=(1/2)ΣΣwiwjσij --->Min
制約条件は
Σwi・E(ri)=E(rp)
Σwi=1
--目的関数を、分散の1/2とした理由は、後の計算を簡単にする...
ラグランジュ乗数 λとμを用いて、ラグランジアン L を次式...
L=(1/2)ΣΣwiwjσij + λ[E(rp)-Σwi・E(ri)] + μ(1-Σwi)
まずは2変数の場合で解いてみよう。
L=(1/2)(wi^2σ1^2+w1w2σ12+w1w2σ21+w2^2σ2^2)
-λ[E(r1)w1+E(r2)w2-E(rp)] -μ(w1+w2-1)
ラグランジアンをw1,w2,λ,μについて偏微分して、それをゼロと...
σ1^2w1+σ12w2-λE(r1)-μ=0
σ21w1+σ2^2w2-λE(r2)-μ=0
Σwi・E(ri)=E(rp)
Σwi=1
上の4つの連立方程式を、w1,w2,λ,μの4つの未知数について解...
*危険資産のポートフォリオ:ベクトル表示 [#n99d7727]
上記の計算をベクトル表示で行ってみよう。
目的関数は、分散W'ΣWであり、ラグランジェ関数は、E(rp)をμp...
L(W)=(1/2)W'ΣW +λ(rp-W'r)+μ(1-W'1) --->Min by W
但し μr=(E(r1),E(r2))' 1=(1,1)'
W=(w1,w2)'
Σ=|σ11 σ12 |
=|σ21 σ22 |
停留条件は、L(w)をWで偏微分して0と置くことで
ΣW - λ・μr -μ1 =0
μp=W'μr
w'1=1
後の2つの式は制約条件になっている2本の式である。最初の式...
この解を求めてみよう。
第1式より
W= λ Σ^(-1)μr +μ Σ^(-1)1
共分散行列の逆行列をQと定義しよう。
Q=Σ^(-1)
そうすれば
W=λ Qμr +μ Q1
両辺を転置すれば、Qは対称行列であるのでQ'=Qより
W'=λ・μr'Q + μ・1'Q
このW'を、2つの制約式に代入すれば、次の2本の式を得る。
λ{μr'Qμr} + μ{1'Qr} =μp
λ{μr'Q1} + μ{1'Q1} =1
このλとμの2つのスカラー変数の連立方程式を解けば良いこと...
2資産の場合の係数を具体的に表わしてみよう。
Q=Σ^(-1)=adjΣ/detΣ
detΣ=σ11σ22-σ12^2
adjΣ=|σ22 -σ21|
|-σ12 σ11|
であるので、2本の式を
A λ + Bμ=μp
B λ + Cμ=1
で表示すれば
A=μr'Qμr=(E(r1),E(r2))(E(r1)σ22-E(r2)σ21 ,-E(r1)σ12+E(r2...
= (E(r1)^2σ22 + E(r2)^2σ11 -E(r1)E(r2)σ12)/(σ11σ22...
B=1'Qμr={E(r1)(σ22-σ12) + E(r2)(σ11 -σ12)/(σ11σ22-σ12^2)
C=1'Q1=(σ22 + σ11 -σ12)/(σ11σ22-σ12^2)
で表わせる。
このA=μr'Qμr、B=1'Qμr、C=1'Q1を使って、連立方程式から未定...
λ=(Cμp-B)/(AC-B^2)
μ=(A-Bμp)/(AC-B^2)
の式で一般のn資産の場合も求められる。
これを使ってポートフォリオWを計算すれば
W=λ Qμr +μ Q1
より
W={(Cμp-B)Qμr + (A-B・μp)Q1}/(AC-B^2)
但し、Q=Σ^(-1)、A=μr'Qμr、B=1'Qμr、C=1'Q1
で表わされる。これが最小分散ポートフォリオである。
2資産の場合のW1は、面倒な計算ではあるが、要素表示すれば
W1={(Cμp-B)/(AC-B^2)}{(σ22E(R1)-σ12E(r2))/(σ11σ22^2-σ12^...
+{(A-Bμp)/(AC-B^2)}{(σ11E(r2)-σ12E(r1))/(σ11σ22-σ12^2)}
=(σ22-σ12)/(σ11-σ22-2σ12)
そして
W2=1-W1
で表わされる。第1資産の保有率w1は、第1資産のリスク(分散σ1...
--行列式の性質から調べてみよう。
|A B|= |μr'Qμr 1'Qμr|
|B C| |1'Qμr 1'Q1 |
なる2x2行列は、次の行列式の積の形で表現できる。
|μr'| Q |μr 1|
| 1'|
ここで det(AB)=detA・detB を用いれば、AC-B^2 は、|μr ...
det|μr 1|=E(r1)-E(r2)
detQ=detΣ^(-1)=1/detΣ=1/(σ11σ22-σ12^2)
であるので
AC-B^2=(E(r1)-E(r2))^2/(σ11σ22-σ12^2)
が成立する。
この最適保有率の下での、ポートフォリオのリターンrpとリス...
μp=W'μr
停留条件式は
ΣW - λμr -μ1 =0
であった。この両辺にW'を掛けると
W'ΣW=λW'μr+ μW'1
を得る。
すなわち、以下のように整理できる。
w'Σw=λW'μr+ μW'1
W=λ Qμr +μ Q1
λ=(Cμp-B)/(AC-B^2)
μ=(A-Bμp)/(AC-B^2)
但し、Q=Σ^(-1)、A=μr'Qμr、B=1'Qμr、C=1'Q1
縦軸に収益の期待値y=rp、横軸に収益の分散x=W'ΣWをとれば、...
X=(λ^2)A+2(λμ)B+(μ^2)C
λ=(C・y-B)/(AC-B^2)
μ=(A-By)/(AC-B^2)
但し、Q=Σ^(-1)、A=μr'Qμr、B=1'Qμr、C=1'Q1
μは、ある定数であり、λもμもyの一次式であるので、''Xはyの2...
これが、リスク資産の効率的ポートフォリオである。
*危険資産の最適点:マーケットのポートフォリオ [#me51a055]
次に、固定金利rfを表わす点を、分散が零なので、y軸上の1点(...
この点と効率的ポートフォリオを表わす点(x*,y*)の2点を結ぶ...
この直線の傾きを最大とする点Mを求めてみよう。
直線の傾きβは、
β=(y*-rf)/X*
但しy*とX*は前記の効率的フロンティアの放物線上の点。
で表わされる。
*m個の危険資産のポートフォリオ [#p44fae41]
ベクトル形式で定式化しよう。
収益率の確率ベクトルを R=(r1,r2,...,rm)'とおく。この平均...
そして、共分散行列をΣ={σij}とする。
各資産をwiだけ保有するポートフォリオを重み付けベクトルW=(...
この時のポートフォリオの収益率の平均値と分散は次式で表わ...
E(rp)=W'μ
V(rp)=W'ΣW
いま、期待収益率E(rp)の目標値をμpと定めたとしよう。
期待収益率μpを与えるポートフォリオ(重み付け)は、一般に...
下図で示すように、3資産の場合の収益率の期待値と分散は、い...
Markovitzの最小分散問題は、図の太線で示した左上の領域(放...
--この領域を効率的フロンティアと呼ぶ。
定式化すれば、期待収益率が一定値μpのもとで、最小分散を与...
''これは、線形制約のもとで、Wの2次関数を最小化する2次計画...
(1/2)V(rp)=(1/2)W'ΣW --->最大化
制約式:E(rp)=W'μ=μp(一定)。1'W=w1+w2+...+wm=1
但し 1'=(1,1,...,1) ベクトル
有効フロンティアを解いてみよう。
停留条件は、下記のラグランジェ関数を最小化すればよい。
L(W)=(1/2)W'ΣW - λ1(W'μ-μp) -λ2(1'W-1)
停留条件は∂L/∂W=0より、最適解W*は
ΣW*-λ1μ-λ21=0
W*=Q[λ1μ+λ21] 但しQ=Σ^(-1)
これをW*'μ=μp と1'W*=1に代入して
λ1(μ'Qμ)+λ2(1'Qμ)=μp
1'Q[λ1μ+λ21]=1
から、ラグランジェ定数を求められる。2番目の式からλ2を求...
λ1(1'Qμ)+λ2(1'Q1)=1
より λ2={1-λ1(1'Qμ)}/(1'Q1)をW*に代入すると
W*=Q[λ1μ+λ21]=Q[λ1μ+{1-λ1(1'Qμ)}/(1'Q1)・1]
=λ1Q[μ-(1'Qμ)/(1'Q1)・1 + (1/1'Q1)Q・1
となる。残されたラグランジェ変数はλ1のみである。1番目の式...
λ1(μ'Qμ)+λ2(1'Qμ)=μp
λ1(μ'Qμ)+[{1-λ1(1'Qμ)}/(1'Q1)](1'Qμ)=μp
λ1{μ'Qμ-(1'Qμ)^2/(1'Q1)}+(1'Qμ)/(1'Q1)=μp
よって、λ1は次式で与えられる。
λ1={μp-(1'Qμ)/(1'Q1)}[(1'Q1)/{(μ'Qμ)-(1'Qμ)^2/(1'Q1)}
W*を整理すれば
W*=λ1Q[μ-(1'Qμ/1'Q1)1] + (1/1'Q1)Q1
の形となる。
そこでW*-(1/1'Q1)Q1を使って
[Σ[W*-(1/1'Q1)1'Q]Σ[W*-(1/1'Q1)Q1]=(λ1)^2[μ'-(1'Qμ/1'Q1)...
左辺は
W*'ΣW*-2W*Σ(1/1'Q1)Q1+(1/1'Q1)^21'QΣQ1
=W*'ΣW*-2(1/1'Q1)W*1+(1/1'Q1)^21'Q1
ΣQ=I(単位行列)であり、W*1=1なので
=W*'ΣW*-2(1/1'Q1)+1/1'Q1
=V*(rp)-1/1'Q1
となる。
右辺は
(λ1)^2[μ'-(1'Qμ/1'Q1)1']QΣQ[μ-(1'Qμ/1'Q1)1]
=(λ1)^2[μ'Qμ-2(1'Qμ/1'Q1)1'Qμ +(1'Qμ/1'Q1)^2・1'Q1]
=(λ1)^2[μ'Qμ-2(1'Qμ)^2/1'Q1 +(1'Qμ)^2/1'Q1]
=(λ1)^2[μ'Qμ-(1'Qμ)^2/1'Q1]
両辺を再表示すれば
V*(rp)-1/1'Q1=(λ1)^2[μ'Qμ-(1'Qμ)^2/1'Q1]
となる。すでに求めたλ1を代入整理すると、完成である。
このことから、期待収益μpと収益の最小分散V*(rp)=W*'ΣW*の関...
[V*(rp)-1/1'Q1]{μ'Qμ-(1'Qμ)^2/(1'Q1)}=[μp-1'Qμ/1'Q1]^2
が成り立つ。
''これが、有効フロンティアの式である。
期待収益μpの2次関数で、最小分散V*(rp)が表わされているので...
*平均-分散平面上の放物線:有効フロンティア [#v56f0bee]
上の導出から、リスク資産のポートフォリオについて、縦軸yに...
(y-a)^2=c(x-b)
但し、a=1'Qμ/1'Q1、b=1/1'Q1、c=μ'Qμ-(1'Qμ)^2/(1'Q1)
このように、係数(a,b,c)は、共分散行列の逆行列Qを使って、...
それでは、安全資産rfと有効フロンティアを結ぶ直線が有効フ...
直線の式はy=βx+rfで表わされるので、これを前記の(y-a)^2=c(...
M点(xM,yM)は
xM=(1/β){c/(2β)+a-rf}
yM=c/(2β)+a
β=(yM-rf)/xM
で表わされる。
-練習問題:2つのリスク資産のポートフォリオ
--問題1:r1,r2の平均ベクトルμと共分散行列Σが所与の時、rp...
--問題2:ポートフォリオの期待値が所与(E(rp)=rp*で一定)の...
--問題3:横軸xに、上記のポートフォリオの最小分散値、縦軸...
--問題4:安全資産rfとリスク資産rm(期待値μm、分散Vm=σm^2)...
--問題5:安全資産rfと先の有効フロンティアを結ぶ直線が有...
*効率的フロンティアと可到達領域 [#gcb4fb7b]
横軸にポートフォリオの分散、縦軸に期待値をとるダイアグラ...
効率的フロンティアとは、最小分散点よりも上半分の期待利回...
-3つのリスク資産のポートフォリオの収益率と効率的フロンテ...
#ref(efficient frontier1.JPG)
*安全資産も含めたポートフォリオ [#x9009c00]
無リスク資産の重みをwとし、リスク資産の重みは1-wとしよう...
E(rp)=w・rf+(1-w)・E(r)
σp = (1-w)σとなる。
w=1-σp/σを代入して、wを消去してみよう。
E(rp) = (1-σp/σ)rf+(σp/σ)E(r)
W=1の時、σp=0でありE(rp)=rfとなる。また、w=0の時、σp=σで...
これは、平均-分散平面上では、点(0,rf)と点(σ^2,E(r))を結ぶ...
#ref(efficient frontier.JPG)
*トービンの分離定理 [#r654c3aa]
上の図でわかるように、最適点Mは、ユニークに決められる。こ...
一方、安全資産と危険資産の組み合わせを行った場合の最適点...
-このことは、危険資産の中から最適な点Mを選ぶ危険資産内で...
-危険資産内での最適化ポートフォリオrpを選ぶ行為と安全資産...
*練習問題:3つの無相関な資産の場合 [#p2a1e5d3]
3つの互いに無相関な資産がある。どの資産も分散は1であり...
-1.ポートフォリオの最小分散点を求め。
-2.効率的フロンティアを表す式をσとE(r)の関係式で示せ。
-3.効率的フロンティアを図示せよ。(横軸をσ^2、縦軸をE(r...
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